作用・反作用の法則がよくわからないんだけど・・・力のつり合いとの違いって何?
作用・反作用と力のつり合いの区別だね。ごっちゃになりやすい部分だから詳しく解説するね。
本日は、作用・反作用の法則についてです。
力のつり合いと混同しやすい分野ですので、違いも含めて解説していきます。
力についてや、力の合成・分解についてはこれまでに解説していますので、下記を参考にしてください。
本記事ではこんな人におススメです。
本記事をおススメする人
- 力学を学び始めた方で、作用反作用の法則がわからなくて困っている人
- 作用反作用の法則と力のつり合いの違いがわからない人
- 授業の予習でどんな感じかをつかみたい人
作用反作用と力のつり合いの違い
ポイントは下記です。
作用反作用と力のつり合いの違い
- 作用反作用は2つの物体の力の関係
- 力のつり合いは1つの物体の力の関係
この違いを頭に入れつつ、まずはそれぞれの法則について見ていきましょう。
作用反作用の法則
作用反作用の力の関係は、2つの物体の力の関係になります。
力が作用すると、必ず反作用で逆向きの力が同じ大きさで発生する、これが作用反作用の法則です。
下のアニメーションを見てみましょう。
指で箱に力を与えていますので、箱は右向きに力を受けています(作用)。
一方、指は箱から同じ大きさの力を逆向きに力を受けます(反作用)。
つまり、作用・反作用の力は
作用した力:箱が指から受けた力
反作用の力:指が箱から受けた力
作用した力と、反作用の力は主語が違いますよね?
この場合では『箱』と『指』という2つの物体の間で発生した力の関係を指します。
まとめると、作用・反作用の法則は、
作用反作用の法則のまとめ
- 作用した力と、ペアとなる反作用の力の関係
- 作用した力と反作用の力は逆向きの力で同じ大きさ
- 作用した力と反作用で発生した力は、別々の物体に発生する(2つの物体の力の関係)
力のつり合い
次に力のつり合いについてです。
こちらは1つの物体に注目します。
箱が置いてある状態をイメージしましょう。
重力で下向きの力が発生しているのですが、地面から反作用の力(垂直抗力)を受けて、静止しています。
この時の力のつり合いは、
『 箱が受ける重力』と『 箱が受ける垂直抗力』が力のつり合いの関係にあります。
よくある間違いは、『床が箱に押される力』と『箱が受ける垂直抗力』はつり合いではありません。
これは先ほど説明した作用・反作用の関係です。
なぜならば、床と箱の力の関係になっているので、2物体の力の関係を示しているからです。
細かく書いてみましょう。
このように、作用反作用の関係にある力と、力のつり合いの関係にある力は厳密に区別できます。
作用反作用・力のつり合いの区別の例
もう一つ例を見てみましょうか。
よくある例ですが、天井から糸でつるされて静止しているボールを考えてみましょう。
重力があるとして、この絵の中で発生している力をすべて書いてみます。
天井と糸に発生する重力は無視し、天井は固定されているとします。
ボールに働く力は、①ボールに発生する重力、②ボールが糸から受ける張力
糸に働く力は、③ボールに引っ張られる力、④糸とボールを支える力
天井に働く力は、⑤糸とボールに引っ張られる力、
合計5つを考えます。
さて、どれとどれが作用反作用で、どれとどれが力のつり合いでしょうか?
答えは、2ペアずつあります。
作用反作用は、②糸からの張力と③天井が糸から受ける張力のペア、④糸とボールを支える力と⑤糸とボールに引っ張られる力のペアです。
力のつり合いは、①ボールに発生する重力、②ボールが糸から受ける張力のペアと、
③ボールに引っ張られる力、④糸とボールを支える力、です。
作用反作用はボールに働く力と糸に働く力、あるいは糸に働く力と天井に働く力の2物体に働く力のペアとなっていますね。
力のつり合いはボールに働く力、あるいは糸に働く力の中で完結していますので、1物体に働く力のペアとなっています。
まとめ
作用・反作用の法則と、力のつり合いについて解説しました。
作用反作用と力のつり合いの違い
- 作用反作用は2つの物体の力の関係
- 力のつり合いは1つの物体の力の関係
これが区別するときのポイントになります。
この区別が感覚的にできるようになることを目標にしましょう。
物理が得意な大学生や社会人は、上記のポイントは感覚的にとらえている人がほとんどです。
たくさん問題を解くことで、これは作用・反作用の法則、これは力のつり合いというのが分かってきますので、今回勉強した内容をしっかり体に覚えこませましょう。