本記事では微分方程式の解法『変数分離形』について解説します。
そもそも微分方程式って何??という方は過去の記事で解説していますので、参考にしてください。
変数分離は微分方程式の解き方でも簡単な部類に入りますので、まず微分方程式になれるという意味でも、しっかり理解しておきましょう。
本記事をおススメする人
- 微分方程式アレルギーの人
- 1から微分方程式の勉強をしたい人
- 微分方程式についてなんとなくわかったけど、解き方が分からない人
変数分離形で解く方程式
下記のような微分方程式を解く方法です。
$$y' = f(x)g(y)・・・①$$
変数分離形の解法
解法5ステップ
- 両辺を\(g(y)\)で割ります (\(g(y)≠0)とします)
- 両辺に\(dx\)をかけます
- 両辺に積分記号をつけます。
- \(y=○○\)の形に式変形します。
- \(g(y)≠0\)となる\(y\)の条件を満たすような積分定数Cを求めます
①式を\(\frac{dy}{dx}\)で書き直します。
ここから\(y\)の式を緑色、\(x\)の式を赤色で書いて、わかりやすくしておきます。
$$\frac{\color{green}{dy}}{\color{red}{dx}} =\color{red}{f(x)}\color{green}{g(y)}$$
Step1 両辺を\(g(y)\)で割ります
割り算をするので\(g(y)≠0\)とします。
$$\frac{1}{\color{green}{g(y)}}\frac{\color{green}{dy}}{\color{red}{dx}} =\color{red}{f(x)}$$
Step2 両辺に\(dx\)をかけます
$$\frac{1}{\color{green}{g(y)}}・\color{green}{dy} = \color{red}{f(x)dx}$$
左辺の変数は\(y\)(緑色)、右辺の変数は\(x\)(赤色)となりましたね。
このように左辺と右辺で変数を分ける方法を変数分離といいます。
Step3 両辺に積分記号をつける
でもこのままじゃ解けませんので、両辺に機械的に積分記号をつけましょう。
$$\int\frac{1}{g(y)}・dy = \int f(x)dx$$
これで両辺を積分したら求まりますね。
Step4,5は具体的な数式を積分する際に必要なステップですので、\(f(x)\)と\(g(y)\)に具体的に数式を入れた場合で、見てみましょう。
具体例
それでは具体例を2つほど見てみましょう。
\(y'=2xy、y(0) =1\)
初期条件として\(x=0\)のとき、\(y=1\)としています。
それでは変数分離してみましょう。
$$\frac{dy}{dx} = 2xy$$
両辺を\(y\)で割って、\(dx\)をかけます(Step1と2)
$$\frac{1}{y}・dy = 2xdx$$
左辺と右辺で変数が\(y\)と\(x\)で分離できましたね。
これに積分記号をつけます(Step3)
$$\int\frac{1}{y}・dy = \int2xdx$$
これを計算すると、
$$logy = x^2 +C$$
Cは積分定数です。
\(log\)を外して\(y=○○\)の形にします(Step4)
$$y=e^{x^2+C}=e^Ce^{x^2}=C'e^{x^2}$$
\(e^C = C'\)と定数を置きました。
ここで、\(y=0\)のとき、\(y'=0\)となって、元の式は満たします。
変数分離をする際、\(g(y)=0\)となる条件はである\(y=0\)は除外していますので、
このケースについて別途考えます(Step5)
\(y=0\)のとき、\(C'=0\)とすれば、右辺は0になりますね。
\(C'=0\)も含むような定数をC''として書き換えると、
$$y=C''e^{x^2}$$
これが一般解です。
初期条件が定められているので、特殊解を求めましょう。
\(x=0\)のとき、\(y=1\)なので、
$$log1 = 0^2 +C$$
\(log1=0\)だから、\(C=0\)となります。
$$log{y}=x^2$$
この式だと関数の形が分かりにくいと思いますので、\(log\)を外して\(y=○○\)の形にします。
$$y = e^{x^2}$$
これが特殊解です。
\(y'=1-y^2\)
つぎはこれを変数分離で解いてみましょう。
いや、この式って\(x\)無いですよ??
\(f(x)=1、g(y)=1-y^2\)とすると、\(y'=f(x)g(y)\)の形に見えてこない??
ということで、\(f(x)=1、g(y)=1-y^2\)として解きます。
\(1-y^2\)を因数分解して書き直すと、
$$\frac{dy}{dx}=1・(1-y)(1+y)$$
\(g(y)≠0\)でなければ割れないので、\(y≠±1\)とします。
\(g(y)\)で両辺を割って、\(dx\)をかけますと、(Step1,2)
$$\frac{1}{(1-y)(1+y)}dy=dx$$
積分しますと(Step3)
$$\int\frac{1}{(1-y)(1+y)}dy=\int dx$$
左辺の積分は部分分数分解で積分すると求まります。
$$\frac{1}{2}log|\frac{1+y}{1-y}|=x+C_1$$
logを外すと、
$$|\frac{1+y}{1-y}|=e^{2x+2C_1}$$
左辺の絶対値を外し、右辺の積分定数を前に出します。
$$\frac{1+y}{1-y}=±e^{2C_1}e^{2x}=C'_1e~{2x}$$
\(C'_1 =±e{2C_1}\)としています。
これを\(y=○○\)の形に整理しますと、(Step4)
$$y=\frac{C'_1e^{2x}-1}{C'_1e^{2x}+1}$$
これが一般解・・・とはいきません。
そう\(y=±1\)を除いていますね。
この式が\(y=±1\)で成り立つか見てみましょう。(Step5)
\(y=-1\)のとき
$$-1=\frac{C'_1e^{2x}-1}{C'_1e^{2x}+1}$$
\(C'_1=0\)とすると、右辺は-1になりますね。
\(y=1\)のとき
$$1=\frac{C'_1e^{2x}-1}{C'_1e^{2x}+1}$$
右辺を1にするにはどうするか、ですが、結論\(C'_1→∞\)にします。
まず、式変形します。
$$(右辺)=\frac{e^{2x}-\frac{1}{C'_1}}{e^{2x}+\frac{1}{C'_1}}$$
\(C'_1→∞\)とすると、
$$(右辺)=\frac{e^{2x}}{e^{2x}}=1$$
となります。
つまり、\(C'_1\)に0と∞を含ませれば、どんな\(y\)でも成り立つ一般解となりますね。
0と∞を含むような積分定数を\(C\)とすると、一般解は、
$$y=\frac{Ce^{2x}-1}{Ce^{2x}+1}$$
となります。
0になる条件がある場合、あとでその条件が満たすように積分定数を定め直してくださいね。
まとめ
以上が変数分離形の微分方程式の解法です。
解法5ステップ
- 両辺を\(g(y)\)で割ります (\(g(y)≠0)とします)
- 両辺に\(dx\)をかけます
- 両辺に積分記号をつけます。
- \(y=○○\)の形に式変形します。
- \(g(y)≠0\)となる\(y\)の条件を満たすような積分定数Cを求めます
変数分離形の関数は、
$$y' =\frac{dy}{dx} = f(x)g(y)・・・①$$
以上5ステップです。
解き方を覚えて、いくつか解いてみると身に付きますので、自分の手をしっかり動かすことも忘れないでくださいね。
次回の同次形の微分方程式でも、この変数分離形の解き方を使用しますので、そちらでも練習しましょう。
それではまた。
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