振動・波動の基礎-⑳固有振動モードを導出する!多自由度の自由振動-減衰なし

振動・波動の基礎ー20固有振動モードを理解しよう 多自由度の自由振動 大学物理
物理苦手君
多自由度の振動の自由振動はわかったんだけど、今までとやってきたことと同じだね、これって勉強する意味あるの?
デルタ先生
一般解を求めるだけだとおもしろくないよね。多自由度系を扱うメリットは固有振動モードがわかる、というところにあるから、そこまで理解していこう。

今回から多自由度系で一番大事な部分、固有振動モードについて解説します。

少し長くなりますので、今回は自由振動の解を示すところまで示します。

ここが多自由度の振動を学ぶメリットの部分になりますので、しっかりと理解しておきましょう。

計算がわからなくても、多自由度系を扱うことで固有振動モードが計算できる、という事実を抑えておきましょう。

本記事をおススメする人
  • 多自由度の振動を勉強している人
  • 固有振動モードの計算をしたい人
  • 物理を勉強していて興味がある人、仕事で振動の知識を使う人

減衰なしの運動方程式

N自由度連成振動モデル

N自由度の多自由度系のモデルを上の図で示しています。

このモデルは減衰ありですね。

運動方程式については、過去の記事で運動方程式まで立てていますので、詳細はそちらを参考にしてください。

結果だけ引用しますと、運動方程式は、

$$M\ddot{X}+C\dot{X}+KX=0\tag{1}$$

M、C、Kはそれぞれ質量マトリックス、減衰マトリックス、弾性マトリックスで、Xは位置のベクトルです。

今回は減衰無しで考えますので下記のようなモデルになります。

i=1,2,3,・・・,Nとして、

$m_i$:i番目の質点の質量

$k_i$:i番目のバネのバネ定数

$x_i$:i番目の質点の位置

運動方程式は(1)式の減衰マトリックスをゼロにして、

$$M\ddot{X}+KX=0\tag{2}$$

となります。

一般解を求める

N自由度の振動の一般解ですが、大事なポイントを先に示しておきますと、

N自由度の振動の一般解は、 それぞれの固有振動の和で表されます。

実際に運動方程式を解いて、この事実を見てみましょう。

運動方程式を解く

(2)式は単振動の運動方程式が行列になっているような形ですね?

行列になっているだけで、中身はN個の二階微分方程式なので、特殊解を仮定して、足し合わせれば一般解が求まります。

単振動とよく似た形になっているのであれば、特殊解も三角関数で表せるので、

$$x_i=u_isin(ωt+φ) i=1,2,3…N\tag{3}$$

となります。

(3)式の2回微分を求めておくと、

$$\ddot{x_i}=-ω^2u_isin(ωt+φ) i=1,2,3…N\tag{4}$$

(2)式に(3)、(4)を代入して整理すると、

$$(K-ω^2M)\{u\}=0\tag{5}$$

$$\{u\}=\left(\begin{array}{c}u_1\\u_2\\\vdots\\u_N\end{array}\right)$$

ここで(5)式が$u_i=0$以外に解をもつための条件は、

$$det\left[k-ω^2M\right]=0$$

という行列式がゼロにならなければならないので、実際に行列式を書くと、

このような式となり、$ω^2$のN次方程式を得ます。

これを特性方程式と言ったり、振動数方程式と言ったりします。

このN次方程式の解を$ω_r$ 1$(r=1,2,3…N)$としたとき、ωをr次の固有振動数と呼びます。

これらは2自由度の振動のときにも同じことをしているので、参考にしてください。

r次の固有振動を考えて、$ω=ω_r$を(5)式に代入すると、

$$(K-ω^2_rM)\{u_r\}=0\tag{6}$$

ここで、r次の固有振動の振幅を

$$\{u_r\}=\left(\begin{array}{c}u_1^r\\u_2^r\\\vdots\\u_N^r\end{array}\right)$$

としています。

(6)式をまじめに書くと

$$(k_{11}-ω^2_rm_{11})u_1^r+(k_{12}-ω^2_rm_{12})u_2^r+…+(k_{1N}-ω^2_rm_{1N})u_N^r=0$$
$$(k_{21}-ω^2_rm_{21})u_1^r+(k_{22}-ω^2_rm_{22})u_2^r+…+(k_{2N}-ω^2_rm_{2N})u_N^r=0$$

$$\vdots$$

$$(k_{N1}-ω^2_rm_{N1})u_1^r+(k_{N2}-ω^2_rm_{N2})u_2^r+…+(k_{NN}-ω^2_rm_{NN})u_N^r=0$$

このN個の方程式を解けばよいのですが、行列式がゼロの同次方程式と呼ばれるものになっているので、

振幅$u_i^r$の絶対値は求まらないのですが、振幅の比は決まります。

適当に特殊解として$x_i=u_isin(ωt-φ)$と解を決めたとき、i=1~N番目までの解に同じ定数をかけても解として成立する、ということになります。

r次における定数を$C_r$とすると、

$$\{x^r\}=Cr\{u^r\}sin(ω_rt+φ_r)$$

これはベクトルになっていて、r次の固有振動における1~N番目の変位を表しています。

自由振動の解は1~N次の固有振動の和をとればよいので、

$$\{x\}=\sum_{r=1}^N\{x^r\}=\sum_{r=1}^NC_r\{u^r\}sin(ω_rt+φ_r)\tag{7}$$

これがN自由度の自由振動の解となります。

大事なこととして、 自由振動はそれぞれの固有振動の和になっている、という点を覚えておきましょう。

まとめ

N自由度の振動について運動方程式を解くことで、自由振動はそれぞれの固有振動の和になっている、ということを示しました。

解き方自体は行列表記に慣れている方は簡単かもしれませんが、行列に慣れていない人は、次回からも行列をたくさん扱っていきますので、しっかり慣れていきましょう。

参考文献

  • 振動工学の基礎:岩壺卓三、松久寛、森北出版株式会社
  • 機械力学-振動の基礎から制御まで:日高照晃、小田哲、川辺尚志、曽我部雄次、吉田和信、朝倉書店
  • 構造と連続体の力学基礎:熊でもわかる変形できる物体の力学:岩熊哲夫、小山茂 web版