振動・波動の基礎 モード解析法の強制振動 周期的外力の取り扱い方

大学物理 振動工学

振動・波動の基礎㉒-3 モード解析法での強制振動の取り扱い方をわかりやすく解説

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これまで習ったモード解析法って右辺がゼロになっているんだけど、強制振動は取り扱えないの?

苦手君
デルタ先生

強制振動も取り扱えるよ。今回はモード解析法の強制振動について解説するね。

本記事ではモード解析法での強制振動について解説します。

これまでモード解析法では自由振動の形しか取り扱っていなかったのですが、強制振動の場合での取り扱い方を学びましょう。

過去にモード解析法について解説していますので、そちらをまだご覧になっていない方は、是非そちらも参考にして頂ければと思います。

本記事をおススメする人

  • 多自由度の振動を勉強している人
  • 振動のモード解析法の勉強をしている人
  • 物理を勉強していて興味がある人、仕事で振動の知識を使う人

下記動画でも解説していますので、是非参考にしていただければと思います。

運動方程式とモデル

今回取り扱うモデルは強制振動なので、強制外力$F_i(t)$を下図のように設定します。

運動方程式は、下記のようになります。

$$[M]\ddot{X}+[K]X=F$$

$$F=\left(\begin{array}{c}F_1\\F_2\\\vdots\\F_N\end{array}\right)$$

強制振動のモード解析法

モード解析法の詳細については過去の記事で解説していますので、参考にして頂ければと思います。

モード解析法を行うために、変換行列\([P]\)を固有ベクトルを並べたものとして扱います。

今回使用する固有ベクトルは強制外力が無い条件の運動方程式が、解を持つ条件から、固有値、固有ベクトルを求めたものとしています。

この変換行列\([P]\)を用いて、\([M]\)や\([K]\)を対角化することで、N元連立微分方程式をN個の微分方程式に座標変換する方法、それがモード解析法でしたね。

それでは強制振動の運動方程式を対角化するために、まず左側から\([P]^{-1}\)を作用させます。

$$[P]^{-1}[M]\ddot{X}+[P]^{-1}[K]X=[P]^{-1}F$$

次に\([P][P]^{-1}\)を\([M]\)と\([K]\)の右側に作って、

$$[P]^{-1}[M][P][P]^{-1}\ddot{X}+[P]^{-1}[K][P][P]^{-1}X=[P]^{-1}F$$

このように\([M]\)と\([K]\)を変換行列で挟み込み、対角化します。 対角化された行列をそれぞれ\([m]、[k]\)と置くと、

$$[P]^{-1}[M][P]=[m]$$

$$[P]^{-1}[K][P]=[k]$$

と書けて、運動方程式は、

$$[m][P]^{-1}\ddot{X}+[k][P]^{-1}X=[P]^{-1}F$$

となります。

ここで\([P]^{-1}X=q\)とXが行列\([P]^{-1}\)を掛けたことによって、\(q\)に変換されたと考え、

$$[m]\ddot{q}+[k]q=[P]^{-1}F$$

と書き直します。変換された\(q\)をモード座標と呼ぶのでしたね。

同様に、右辺の\([P]^{-1}F\)についても、\(F\)が行列\([P]^{-1}\)によって\(f\)に変換されたと考えると、

$$[P]^{-1}F=f$$

と書くことができます。

このように表記すると、

$$[m]\ddot{q}+[k]q=f$$

と運動方程式を書き直すことができます。

この運動方程式を行列表記すると、下記のようになります。

\([m]\)も\([k]\)も対角化されているので、N個の微分方程式が並んでいるだけですね。

それぞれの微分方程式を見てみると、2階非同次線形微分方程式となっており、1自由度系の強制振動の運動方程式と同じ形式で書けていることがわかります。

このように、モード解析法では強制振動も扱うことができます。

まとめ

今回はモード解析法での強制振動について解説しました。

強制外力が無い状態での運動方程式から求めた固有ベクトルを使って、対角化するための行列を作り、 強制外力がある運動方程式をそのまま対角化するイメージです。

モード解析法は今回と前回解説したように、強制振動でも、減衰振動でも取り扱うことができる強力な解析手法ですので、しっかりと理解しておきましょう。

次の記事 → 振動・波動の基礎 ㉒-4 モード解析法を使わずに多自由度の連成振動の運動方程式を解く

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