今日は行動経済学の、"フレーミング効果"について解説します。
本記事をおススメする人
“他人とコミュニケーションする人で、フレーミング効果を知らない人”
“他人にしてほしいことがあるけど、うまく伝えられない人”
“騙されたことのある人”
外界と完全にシャットアウトしていない人は、最後までお付き合いください。
これを知っておくことで、 優れた武器にもなるし、人生で失敗しないための防具にもなります。
フレーミング効果とは
フレーミング効果: 同じことを表しているのに、伝え方で、捉え方が変化する
奥が深く、よく使われているものなので、使い方と具体例を見てみましょう。
意識しておくと、フレーミング効果を武器として色々な場面で使えます。
どんな使い方がされているかを知っておくことで、フレーミング効果で騙されにくくなります。
フレーミング効果の使い方
よくネット記事とかで見かけるのですが、
フレーミング効果はポジティブワードを使いましょう
というのは、あまりにも安直です。
使う上で一番大切なのは、
誰が、誰に、何のために言うのか、
という点を意識することです。
元も子もないことを言うようですが、ケースバイケースで表現を使い分けます。
具体例① 飲み物のおかわりを勧めるパターン
コップに半分入った水
- まだ半分残っている
- もう半分しか残っていない
さぁ、ポジティブに“まだ半分残っている”を使おう!
というのは、ちょっと待ってください。
誰が、誰に、何のために言うのか?を考えて選択しましょう。
自分が、水を飲みたいために、まだ半分残っている!だから水を飲む!
っていうのは〇です。
しかし、例えば、店員がお客さんに追加の飲み物を勧める場合
お客様に水がまだ半分残っているよ~って言いませんよね?
「あと半分しか残っていませんけど、おかわりいかがですか?」
なんでもかんでもポジティブにまだ半分残っているなんて言ってはいけません。
ちょっと極端な例かもしれませんが、 相手に追加の飲み物を勧めるために、どういった感情を利用するか、という視点で選んでくださいね。
でも、水なんて無料で飲めるやん!
でも、海外のレストランでは、水が有料の場合が多いよ。
私はこのことを知らず、ハワイのレストランで水に700円払いました…泣
具体例② 不安を煽って契約を取るパターン
ガン保険の販売
- 30%の人はガンになる だから入っておいた方が安心ですよ
- 70%の人はガンにならない でも入った方が安心ですよ
どちらが売れるでしょうか?
こういう保険屋さんは、 お客様の不安を煽って売ってきます。
相手を不安にさせるには、ポジティブな表現ではなく ネガティブな表現を使います。
何が言いたいかというと、これは詐欺師の手口でもあります。気を付けて!
ウソは言っていないので詐欺じゃないというツッコミは無視します
具体例③ どっちが強そう?
サッカーチームの戦績
- 10戦無敗
- 1勝9引き分け
言っていることは同じですけど、インパクトが全然違いますね。
スポーツ新聞の見出しとかでよく見られますが、ちゃんと無敗の中身を見て、強いかどうか判断しましょうね。
こういう 強い、というポジティブな表現を読者に伝えたいときはポジティブなワードを使いましょう。
具体例④ 月額→日割りして安いパターン
スマホと一緒にタブレットを契約しませんか?
携帯ショップで似たような体験したことある人も多いのではないでしょうか?
フレーミング効果はこの後です。
月額1500円です、1日あたり約50円、缶コーヒー1本よりお得ですよ
そうかそうか、缶コーヒー我慢すればいいくらいだったらお得ですね!
って、こうならないようにしてくださいね!!
缶コーヒー1本とかペットボトルのお茶1本とか…
こういう 身近なものと比べて、お得感を出すのもフレーミング効果の一種です。
そもそもそんなコスパ悪いもんと比べんなという声も聞こえてきそうですが、これもよくある商法ですよね。
ちなみにこのタブレット、年額15,000円です。安いタブレットであれば1年我慢すれば買えます。
携帯ショップの店員は、絶対に年額15,000円とは言わん。売れないから。
具体例⑤ 単位のマジック 栄養ドリンク編
栄養ドリンクの成分
- タウリン1000mg配合
- タウリン1g配合
表記にもフレーミング効果があります。1gって少なく感じませんか?
なんか元気になりそうな成分が、1000mgも!めっちゃ入ってるやん!
こう思ったあなたは詐欺師に騙される危険があります。
そもそもタウリンが何かわかっていないのに…ねぇ
具体例⑥ 単位マジック レモン編
レモン○○個分のビタミンC
- ビタミンC 60mg配合
- レモン3個分のビタミンC配合
レモンってビタミンC多いイメージがあるのでこういう表記がされますよね。
こういう 一般的な情報を使って、いかにもたくさん入っている、という印象を与えるのもフレーミング効果です。
レモンにビタミンCが何g入っているか知っていますか?
ちなみにレモンのビタミンCはレモン4~5個分です。
え??レモン1個にレモン4~5個のビタミンC??
謎のおもしろ表現ですね。
ポイント
レモンの1個にはビタミンCが約100mg含まれます。
そのレモンを絞ってレモン果汁にするとビタミンCが20mg含まれています。
ここで食品の表記ルールとして
レモン1個分のビタミンC=レモン果汁に含まれるビタミンC = 20mg
なのでレモンの1個に含まれるビタミンC 100mgは
100mg ÷20mg =5個分
雑学でした。ちなみに、アセロラとかグァバの方が圧倒的にビタミンCは多いですよ。
具体例⑦ 情報商材を売りつけたいパターン
ブログを始めて収益を得られるか
- ブログを続けた人は収益を得ている
- ブログを始めた人のほとんどが挫折して時間を無駄にする
どちらも真実です。嘘は言っていない。
時間を無駄にする、というネガティブ表現のあとに、高額な情報商材やセミナーを紹介するのが常套手段のようです。
すべてが悪いとはもちろん思いませんが、お金を払う価値があるか、しっかり考えましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このフレーミング効果は応用が色々なところに効きます。
日頃のコミュニケーションでは、ポジティブな表現で明るい印象を与えるというのは大事です。
自分が売りたい商品であったり、相手に何かしてほしいことがある場合には、是非使ってみてください。
一方で、世の中にはこのフレーミング効果を使って、たくみに詐欺商品を売りつけたりする人がおられます。
あ、こういう表現で買わそうとしているんだ、と知っておくだけで、騙される確率も減ります。
詐欺師が一番騙しやすいのは、何も知らない人 、ですから。
それでは今日はこの辺で、ありがとうございました。