今回は私の体験談をもとに、新たな技術開発に取りくもうとされている方へ、注意すべき点を3点を説明します。
それがこちらです。
- 強い熱意を持つこと
- できる限り自分の得意な分野で始めること
- 仲間をつくること
企業の平社員が新しい技術開発をするときに、どのような点に注意すべきだったか、ということを本記事では解説します。
企業での体験談をもとにしていますが、企業での新規事業への取り組みだけでなく、
何か新しいことをやるときには共通する部分もあると思いますので、
参考にしていただければと思います。
とはいえ、筆者の体験談に基づいた私見ですので、すべてのケースにあてはまるわけではありません。
ひとつの意見として参考にしていただきたいと思います。
- 企業で新規事業を立ち上げようとしている人
- 新しいことを始めようとしている人
目次 -Contents-
①強い熱意を持つこと

企業で新しいことを始めようとすると、 絶対にネガティブな意見を言う人がいます。
それを押しのけるだけの熱量が無いと、すぐに心が折れてしまいます。
どういったパターンがあるか、私の体験から実話で示したいと思います。
本当に売れると思っているのか?

筆者「はい、他社に比べても比較にならないほど高性能ですし、市場規模も文句ありません。」
上司「うーん、でもそれは君が調べた中で、っていうことだよね?本当に全世界を探したのかい?」
筆者「日本も世界も調べました!」
上司「本当に全部かい?」
筆者「はい!」
上司「じゃあ証拠を見せて」
筆者(え?証拠・・・?)
筆者「このレポートは調査会社が全世界の情報を集めた結果なんです!」
上司「本当に抜けはないのか?確認したのか?」
筆者「調査会社との打ち合わせでそう言っていましたが…」
上司「その会社がそう言っているだけだろう。なぜ自分の眼で確認しない?」
筆者(・・・この人は何を求めているんだろう??)
新しいことをさせたくない、としか思えない問答でした。
ちなみに、市場情報や他社の技術情報は、調査会社を利用して調べてもらっていましたが、それでも『No』を突き付けられます。
やり遂げる覚悟はあるのか?

筆者「あります!」
上司「覚悟というのはそんなに軽く『あります』と言うものではないんだよ。
君が中小企業の社長だったとしたらどうだい?
この開発が失敗して、ついてきたメンバーが路頭に迷う、そんな責任をとれるのかい?」
筆者「・・・そんな責任はとれません」
覚悟を見せろ、という 精神論を吹っかけてくることもあります。
確かに覚悟は大事です。
でも、覚悟ってなんでしょう?
みなさんは考えたことはありますか?
筆者が思うに、上記のようなことを覚悟と呼ぶのであれば、大企業に勤めている限り、そんな責任を負えません。
だって後ろ盾があるんですから。
大企業の平社員って責任とる方法がないんですよね。
給料が減るとかはあるかもしれませんが、中小企業の社長が辞任するとか、借金を数百万負うとか、そんなレベルには程遠い。
誰も上手くいっていないから、どうせ君らには無理だよ
これもよく言われました。
Noを突き付ける理由は、『誰も上手くいっていない』から。
もうね、研究開発する人の発言ではないですよ。
新しいもの作ろうとしているのに、誰かがうまくやっているものしか開発できなくなります。
ちなみに、他社が失敗した理由とかも調査して、今回はクリアできるから大丈夫なんです!と言っても理解してくれません。
「本当にそうなのか?」
このような言葉で跳ね返してきますので。
周囲のネガティブな声を乗り越えるには…

圧倒的な熱量が必要です。
それも瞬間的なものではなく、ずっと熱く語りかけるしかありません。
いろいろな客観的なデータを集めることも大事ですが、
私の場合、最終的にやりたいんです、の想いでしか通すことはできませんでした。
その間、なかなかツラい言葉を投げかけられ続け、精神的にも参ることも多いです。
そんな状況を跳ね返すには、やはり確固たる自分の想いしかないと思います。
ちなみに、世の中には『どんな提案も2回は絶対突き返す、3回目で初めて聞く』、という方もいますので、気を付けましょう。
こういう人を突破するには、1回目、2回目に本気でぶつかっても無駄ですので、回数を多くするしかないです。
②自分の得意な分野で始めること

やろうとしている分野は、どのような分野ですか?
企業の平社員がやるのであれば、自分の得意な分野で始めるべきです。
これも私が後悔していることです。
私は物性物理を大学では勉強していたのですが、構造力学とか振動工学とか、いわゆる機械系の力学はまったく勉強していませんでした。
そして、自分の部署にも詳しい人は全くいませんでした。
そんな中、構造力学であったり、振動工学が必要な状況になり、非常に苦労しました。
企業の研究開発の求めるスピード感は、一から勉強して間に合うほど、生ぬるいものではないのです。
他の部署の方や、大学の専門家にお話しを聞きながら、寝る時間を削りに削って、勉強する毎日でした。
勉強できる期間を設けられる場合や、自分のチームに専門家を入れることができるのであれば、専門外の分野で新しいことを始めてもOKです。
しかし、ひとりの平社員がチームメンバーを全部選択することができるケースというのは少ないでしょう。
私のように、上司が人事権を持っていて、チームに専門家を配属してくれない場合、泣きを見ます。
③仲間をつくること

本当にやり遂げたいのであれば、強い仲間を入れるべきです。
先ほど書いたように、チームに専門家を入れてくれないとかNGです。
そうでなくても、ある程度、仕事ができる人と組むべきです。
私のチームに配属されたのは、若手で全然仕事の基礎ができていない後輩と、新入社員でした。
正直ね、終わっていますよ。
1+1+1=3にはならないです。
私のリソースが後輩の指導に取られて、研究開発どころではないです。
データのまとめ方、資料の作り方、実験条件の作り方、スケジュールの作成の仕方・・・
専門知識の勉強もしなければいけない状況で、こんなチームではうまくいくわけもありません。
チーム編成のときに、絶対に自分の主張を入れて、強いメンバーを巻き込むべきです。
そのためには、事前に根回しを入念にしておきましょうね。
筆者の後悔
筆者は、自分の想いを押し通し、新しい技術開発に取り組みました。
しかし、後悔しています。
熱量があっても、自分の専門外の分野で始めたこと、レベルが低いメンバーしか配置されなかったこと・・・
本当にやりたいのであれば、 目的を達成するための手段、環境にもこだわるべきです。
今振り返ると、会社にとどまる必要があるか、ここまで立ち戻って考えなければいけませんでした。
新しい技術開発をするのであれば、今、勤務している企業でやることがベストなのでしょうか?
私にはこの観点が抜けていました。
その結果、周りの声にやられて、精神は鬱状態に、体にも異常が現れるハメになりました。
みなさんは、筆者のようにならないよう、最適な手段を考えるようにしてくださいね。
まとめ
本記事では新しい技術開発を行う際に、大事な注意点を3つ解説しました。
- 強い熱意を持つこと
- できる限り自分の得意な分野で始めること
- 仲間をつくること
熱意が必要なことはもちろん、やりたいことを達成するための手段、環境を整えることを軽視しないでくださいね。
研究開発に携わる人というのは、1つのことにのめりこみ、長時間労働でなんとかしようとする傾向にありますが、健康には十分に気を付けましょう。