今日は一貫性の原理について解説します。
みなさんの周りに頑固な友人、上司はいませんか?
頑固とまで言わなくても、あることに関しては信念を曲げない、という人もいるでしょう。
これは人間が生まれ持った性質である『一貫性の原理』が働いている結果と考えられます。
この記事を読めば、 一貫性の原理とは何か?ということと、どういう風に仕事や私生活に活かしていけばよいかが理解できます。
具体例を交えながら、わかりやすく解説しますね。
目次 -Contents-
一貫性の原理とは

一貫性の原理:自分の行動、発言、信念を曲げたくない(一貫したものにしたい)
これは無意識に働いています。そう、あなたにも・・・
なぜこの原理が働くのか、というのは3つです。
- 人は選択を嫌う
- 人は信頼されたい
- これまでの労力がもったいない
思い当たる人も多いのではないでしょうか?具体例を見てみましょう。
① 人は選択を嫌う 具体例

日々の食事や飲み会などでも、こういう場面があるのではないでしょうか?
- 金曜日の晩御飯はカレー
- とりあえず一杯目は生ビールで
- とりあえず今日は飲まないからウーロン茶で
飲み会の乾杯はとりあえず生ビール、飲めなかったらウーロン茶、定番となっている方も多いのではないでしょうか?
ちなみに金曜にカレーとしておくと、土曜日の昼もカレーになり、選択する機会が減りますね笑
選択する、というのは意外にも脳に大きな負担をかけますので、このように選択という行動を省略できるようにしたがります。
②人は信頼されたい

また、人には承認欲求というものがあり、信頼されたい、という欲求が自然と生まれます。
その結果、行動や発言が二転三転して、周りからの信頼を失うことを嫌がります。
少し言い換えると、” 最初の行動に引きずられやすい”ということです。
これが一貫性の原理を生かす際の肝です。
具体的な研究結果として、社会心理学者のジョナサン・フリードマンとスコット・フレイザーの実験結果があります。
これは、下記のような実験です。
- 高級住宅街に『安全運転』と書かれた大きな看板を立てさせて欲しい、と住民にお願いする
- お願いのパターンを2パターン用意し、それぞれがどれくらいの割合でOKしてくれるか、を調べる
パターンは
- ストレートに看板を立てさせてくれ、と頼む
- 2週間前に、『安全運転しよう』と目立たない紙を、窓に貼らさせてもらってから、看板を立てさせてくれと頼む
結果、①では17%、②では76%と、圧倒的に②の方がOKしてくれました。
これは事前に『安全運転しよう』という貼り紙をOKした
→住民の安全運転への意識が高まった
→看板についてもOKを出した
というわけです。
心理学的には、このような段階的にOKをもらう手法を『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』と呼んでいます。
③一度決めたらもったいない(サンクコスト)

サンクコスト、コンコルド効果とも言います。
コンコルドの開発についてご存じでしょうか?
コンコルドの開発の途中で、辞めたくてもここまで進めたから辞めるのもったいないよね、という心理で、延々と開発を進めたという事実があります。
結果、莫大なお金をつぎ込んで、コンコルドができあがったものの、多額の赤字を生み出しました。
開発者はコンコルドの燃費の悪さ、旅客の乗員数が少ないことから採算が取れないってわかっていたらしいです。
もったいない精神で大きな被害をもたらした事例ですね。
一貫性の原理の応用例
応用例①






最初は簡単な仕事でOKをもらい、徐々に難易度を上げて、ハードルの高い仕事を引き受けてもらうパターンです。
フット・イン・ドア・テクニックですね。
応用例②






よくある携帯の2年縛りのパターンですね。
最初にYesを引き出しておいて、あとで不利な条件を見せるパターンで、不利な条件も飲みやすくなります。
応用例③



お客さんに継続して使ってもらいたいときもよく使われますね。

携帯の2年縛りの解約もそうです。
あと数か月使ったら解約料かかりませんので、それまで使ってみてはどうですか?
これでYesと答えてしまうと、数か月後に解約を忘れて、悲しい思いをするのが目に見えますね。
応用例④ デートに誘う


そして花火大会の前日


よくある手法ですが、効果あります(実体験)
逆にダメだったら、相手に好意が無い可能性が高いかも・・・?別の作戦を立てましょう。
応用例⑤ 返報性の原理と合わせる






そして約束の前日・・・


ちなみに返報性の原理については次の記事を参考にしてください。
借りたモノは返せ!と言われなくても返します。返報性の原理と催促方法・心理学・行動経済学
返報性の原理を重ね合わせることで、成功率アップです!
前の例より成功しそうじゃないですか??
まとめ
一貫性の原理は、皆さんの周りにあふれている心理学です。
周りからみたら、頑固とも思われたり、使われると周りの意見に流されやすいという印象をあたえてしまいかねませんね。
知っていれば相手を動かすこともできますし、逆に知っていることで、不利な方向へ誘導されにくくもなります。
よく理解して、自分の生活に役立てていきましょう。